不確定な世界

科学の話題を中心に、勉強したことや考えたことを残していきたいと思います

読書

「大規模言語モデルは新たな知能か」;岡野原大輔著 読書感想

本日紹介するのは、岡野原大輔著「大規模言語モデルは新たな知能か」。 著者の岡野原氏は日本が誇る天才集団、Preferred Networksの共同創業者として著名である。学生時代には言語モデルを研究していたらしく、まさに大規模言語モデルを語るのにふさわしい人…

「つくりながら学ぶ!PyTorchによる発展ディープラーニング」;小川雄太郎著 読書感想

本日紹介するのは、小川雄太郎著「つくりながら学ぶ!PyTorchによる発展ディープラーニング」。 書名に「発展」とあるように、本書で扱われる手法は非常に発展的・応用的だ。物体検出のSSD、姿勢推定のOpenPose、異常検知のAnoGANなどは、メディアや書籍など…

「ゼロからつくるPython機械学習プログラミング入門」;八谷大岳著 読書感想

本日紹介するのは、八谷大岳著「ゼロからつくるPython機械学習プログラミング入門」。 私はこれまで機械学習の本を何冊か読んできたが、古典的な機械学習に関する入門書は、実質的にscikit-learnのチュートリアルで終わっていることも多い。機械学習の中身を…

「量子コンピュータが本当にわかる!」;武田俊太郎著 読書感想

本日紹介するのは、武田俊太郎著「量子コンピュータが本当にわかる!」。 著者の武田先生は量子テレポーテーションで有名な古澤研のOBで、最近独立した研究室を立ち上げた若手研究者である。以前紹介した藤井先生が理論の専門家であるのに対し、武田先生は光…

「驚異の量子コンピュータ」;藤井啓祐著 読書感想

本日紹介するのは、藤井啓祐著「驚異の量子コンピュータ」。 著者の藤井先生は量子誤り訂正の理論を専門とする研究者であり、量子コンピュータの理論分野では日本を代表するトップランナーである。本書は主に「ゲート型」とか「万能型」と呼ばれるタイプの量…

「Pythonによる数値計算とシミュレーション」;小高知宏著 読書感想 

本日紹介するのは、小高知宏著「Pythonによる数値計算とシミュレーション」。 元々はC言語版が古くから出版されていて、本書はそのPython版である。読者層は情報系が想定されているが、小高先生の本はサンプルプログラムの実装が素朴でわかりやすく、プログ…

「Pythonによる機械学習入門」;株式会社システム計画研究所編 読書感想 

本日紹介するのは、、株式会社システム計画研究所編、「Pythonによる機械学習入門」。 私は深層学習から入ってきたクチなので、ニューラルネットワーク以外の機械学習手法にはほとんどなじみがない。とりあえずscikit-learnの使い方でも覚えるかと手に取った…

「スッキリわかるJava入門 第2版」;中山清喬・国本大悟著 読書感想

本日紹介するのは、中山清喬・国本大悟著、「スッキリわかるJava入門 第2版」。 私は学校ではC言語を習い、仕事では主にPythonを使っている。今までJavaを学ぶ機会はなかったのだが、存在はもちろん知っていたし興味もあったので、軽く入門してみようと元旦…

「眼の誕生」;アンドリュー・パーカー著 読書感想

本日紹介するのは、アンドリュー・パーカー著「眼の誕生」。 日本におけるディープラーニングの第一人者である松尾豊先生が、著書や講演などでディープラーニングのことを「機械が眼を獲得した」と表現し、本書をよく参考文献として挙げている。そのため、本…

「nature 科学」シリーズ;竹内薫 監修 読書感想

今回紹介するのは、 「nature 科学 系譜の知」 「nature 科学 未踏の知」 「nature 科学 深層の知」 の3冊。 「nature」は有名な科学論文雑誌なので、ご存じの方も多いだろう。そのnature誌の一般向け解説コラム「News & Views」過去10年分の中からイチオ…

「ディープラーニングがわかる数学入門」;涌井良幸・涌井貞美 著 読書感想

本日紹介するのは、涌井良幸・涌井貞美 著「ディープラーニングがわかる数学入門」。ディープラーニングに関してはこれまでに「ゼロからわかるDeep Learning (感想記事)」「機械学習と深層学習-C言語によるシミュレーション- (感想記事)」など、実装中心…

「機械学習と深層学習-C言語によるシミュレーション-」;小高知宏 著 読書感想

年始に買って積読していた、小高知宏著「機械学習と深層学習-C言語によるシミュレーション-」を読み終わった。 本書の特徴は、事実上Pythonに支配されている機械学習や深層学習のプログラムをC言語で学べること。しかも、特殊なライブラリに頼ることなく、き…

「量子暗号」;石井茂 著 読書感想

はじめに 今回紹介するのは、石井茂著「量子暗号」だ。 量子力学全般、あるいは暗号全般について解説した本の中で、話題の一つとして量子暗号についても触れているものは多い。しかし、丸々一冊分「量子暗号」の解説だけに特化している本というのは貴重だ。…

一見平等なトレードから必然的に不平等が生まれる(pythonシミュレーション)

池谷裕二さんの「脳はなにげに不公平」を読んでいて、初っ端から面白そうで試すのが簡単そうなお話があったので、pythonでシミュレーションしてみた。 シミュレーション内容 「100人のプレイヤー全員に1万円を渡す。100人の中からランダムに2人選び…

「ゼロから作るDeep Learning」を読んだ(後編)

前回から引き続き、「ゼロから作るDeep Learning」の読書メモ。 4章 ニューラルネットワークの学習 損失関数 2乗差誤差はわかりやすいが、交差エントロピー誤差は直感的に意味を把握しにくい。しかしソフトマックス関数と組み合わせて使うことを考慮に入れ…

「ゼロから作るDeep Learning」を読んだ(前編)

斎藤康毅著「ゼロから作るDeep Learning」を読んだので、その読書メモ。 人工知能・ディープラーニングには前々から興味を持っていてブルーバックスレベルの本を数冊読んでいたが、この分野の本格的な専門書を読むのは初めてだ。この本は有名なので、既に無…